雨が降る。


交通整備員がカッパを着ながら赤と白の旗を操っている。

外仕事、お疲れ様です。と、車の中から目で伝える。

…睨んでいませんよ。


学校帰りの小学生ふたり組。

びしょ濡れになっている。

あら、大丈夫かしら…と思ってよく見ると、ふたりとも楽しそうに話をしながら手に傘を持っている。

傘を振り回すとか、遊びの道具に使うとかでもなく、ただ、持っている。

傘はさすものだという固定概念を覆される。

…パンクだなあ。


車の整備工場では成人男女が二人、ひとつの傘の中で話をしている。

…どんな関係なんだろ…傘、ひとつしかなかっただけなのかなあ…。


なんてことを考えているうちに店に着く。


車から荷物をおろすべく、ひとり、傘をさす。

なんてつまらない画だろうと思いながら。

でもきっと、誰も、何も思っていない。

ただの雨と日常。



あわい堂

本と珈琲のあるところ

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